ホーム | ソーラー発電システム・太陽光発電システム | ソーラーパネルの選び方
当ページでは、蓄電システムの規模や用途の応じたソーラーパネル(太陽光パネル)の選び方について解説いたします。
最近、さまざま販売されているソーラー発電システムの中には、100Ahのバッテリーに対し、15W程度の発電能力しか持たないソーラーパネルがセット販売されていたり、折角100Ahのバッテリー容量がありながら、最大300W程度の出力しか発揮できないインバーターがセットされたりして、購入者の便利を良心的に考えられているようには到底思えません。
ソーラーパネルにはさまざまな種類があり、日本製(高価)であっても発電効率の低いもの、逆に中国製(格安)なのにとても高効率なものも存在します。また、住宅・産業用のソーラーパネルでは、発電される電圧が相当に高いもの(50V以上)があり、12V/24Vのバッテリーに蓄電するには不適合のものもあります。
以下、ソーラーパネルの選び方について、初心者の方にも十分に理解できるように、ソーラー蓄電システムのバッテリー容量に応じたソーラーパネルの正しい選び方を説明してまいります。
当然のことですが、ソーラーパネルを選定するに当たり一番初めに考えることは、これから構築しようとしている蓄電システムに使用する(もしくは、すでに持っている)バッテリー容量です。(「50Ah」などと表示されています)
どれくらいの容量のバッテリーを、放電深度何%程度から満充電まで完了させるだけの能力を持つソーラーパネルが必要なのかをまず考えます。
以下、例をとって考えてみましょう。
用途 | 非常用電源システム(使用頻度は、年に2回程度) |
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バッテリー容量 | 36Ah(一般的な自動車始動用バッテリーの容量です) |
放電深度 | 50%(半分は使用した、または自然放電したと仮定します) |
上記非常用電源システムには、本来インバーターがあるはずですが、ここではソーラーパネルの選定だけとなりますので、インバーターの存在は無視することとします。
すなわち、36Ah×50%=18Ahを満充電させるために必要なソーラーパネルの発電能力(W:ワットで表示)を考えることになります。
ソーラーパネルの選定と合せて考えなくてはならない機器があります。「チャージコントローラー」といって、ソーラーパネルとバッテリーの中間に設置して、充電に必要な電圧や電流値を適正に保ちバッテリーを保護する優れものです。
もし、チャージコントローラーを設置せず、ソーラーパネルからの出力を直接バッテリーにつないだ場合、バッテリーからソーラーパネルへ逆電流が流れて破損させてしまったり、過充電によるバッテリーの劣化、破損を引き起こしたりします。
チャージコントローラーには、最大入力電圧や入力電流値などが定められており、ソーラーパネルに応じたものを選ぶ必要があります。基本的に「5A」「10A」「15A」「30A」「45A」というような数字で表されており、それぞれ、5Aのコントローラーでは、「5A×12V=60W」(利用できるソーラーパネルの発電能力:理論値)として考えます。
すなわち、10Aのチャージコントローラーでは「120W」のソーラーパネルまで、45Aでは「540W」までということになります。
チャージコントローラーについては、チャージコントローラーの選び方を参照ください。
ソーラーパネルの性能に関しましては、その表記方法には「日本式表記」と「欧米式表記」があります。中国製のソーラーパネルに関しましては、日本向けに設計されたものは日本式表記に準じた表記になっていることもありますが、中には、とてもわかりにくい表記になっているものもあります。
ここでは、基本的な性質や性能を現す5つの電気的な仕様について説明いたします。
「Open Circuit Voltage」の略で、ソーラーモジュールの正極(+)と負極(−)との間の、何も接続しない状態の電圧となります。(単位:V)
この開放電圧値を基準にしてチャージコントローラーを選定します。仮に、開放電圧が40Vのソーラーパネルと入力電圧が最大25V(一般的なコントローラー)の表記のものは適合しませんので注意が必要です。
「Short Circuit Current」の「I」(電流)ことを指し、ソーラーモジュールの正極(+)と負極(−)とを短絡させたときの電流値をいいます。(単位:A)
ソーラーモジュールの出力が最大になるときの動作電圧です。(単位:V)すなわち、好天時の瞬間日照度が最高のときの電圧のことをいいます。
ソーラーモジュールの出力が最大になるときの動作電流値です。(単位:A)すなわち、好天時の瞬間日照度が最高のときの電流値のことをいいます。
上記Vop(V)×Iop(A)=Pmax(W)となり、ソーラーモジュールの性能表記となる最大出力の表示となります。
さて、それでは本題となるソーラーパネルの選び方に入ります。先述した36Ahのバッテリーの消費分となる18Ahを、現実的かつ合理的に満充電させるためのソーラーパネルは、以下のような計算式から算出されます。(ここでは、システムの仕様を12Vバッテリーとします)
現実的な日照時間と充電時間の定義
1, 充電日数:3日間(日照のない雨天、曇りを考慮せず、延べ日数で算出する)
2, 1日の日照時間:3.5時間(日本の全国平均の日照時間である「3.3時間」から)
充電を必要とする電気(18Ah)×バッテリー電圧(12V)=216Wh となるので、
216W÷(充電時間3.5時間×充電日数3日)≒20.6Wh となり、ソーラーパネルの発電損失(15%程度)を考慮すると、25W以上の性能を持つソーラーパネルが必要であることがわかります。
またここでは、充電日数を「3日間」として定義していますが、あくまでも延べ日数換算としていますから、実際には1週間程度かかると思った方がいいでしょう。たった216Wを発電するのに1週間かかると考えると、さらに2倍程度の発電性能を持つ50W程度のソーラーパネルを選択したほうが無難かもしれません。
もう少し容量の大きいバッテリー100Ahでもう一度考えると、放電深度70%を前提にして、
70Ah×12V=840Wh ですから、840W÷10.5時間=80W となりますので、
発電損失を考慮すると、100W以上(現実的には200W以上)のソーラーパネルが必要となります。
100W出力のパネルの大きさは、1200mm×600mm×40mm、重量10kg近くにもなりますので、風で飛ばされないような設置工事は必須となり、意外と大掛かりなシステムになります。
現在、わが国で流通販売されているソーラーパネルは、主に中国製と日本製が多いようです。そのほか、ドイツ製、アメリカ製、カナダ製など欧米製のものもありますが、独立電源システムとして設計されたパネルではなく、住宅・産業用の開放電圧が50V以上のものがほとんどで、格安のチャージコントローラーを選択できなくなりますので注意が必要です。
以上ですが、日本製のソーラーパネルの価格に関しましても、先の震災後から徐々に安くなってきているようです。ほか、弊社セット商品、ソーラーパネルの選び方についてご質問等ございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。