ホーム | ソーラー発電システム・太陽光発電システム | チャージコントローラーの選び方
当ページでは、太陽光発電システムには必須の設備機器となる「チャージコントローラー」の選び方について解説いたします。
チャージコントローラーには、充電するだけの「充電コントローラー」、充電・放電を制御する「充放電コントローラー」また、独立系の照明システムに使用する「充電ライトコントローラー」があります。
このページでは、主に、独立系の太陽光発電システムに使われる「充放電コントローラー」に関して説明いたします。ちなみに、住宅用の太陽光発電システムでは、放電機能(すなわち「売電」概念)はなく、充電コントローラー・インバーター=「パワーコンディショナー」と呼ばれています。
チャージコントローラーの選定に際し、まず一番初めに考えることは、使用するソーラーパネルの発電量(W)と蓄電側となるバッテリー容量とのバランスです。
また、10W程度の発電量のソーラーパネルに対し、自己消費電力が50mA以上もあるような液晶表示のあるようなものを使用しますと、折角発電した電気が自己消費電力にまわってしまい発電能力が落ちてしまいます。
また、太陽光発電システムの仕組みでも解説したとおり、チャージコントローラーの種類には、PWM制御方式とMPPT制御方式とがあり、性能も価格も大幅に違います。
まずは、チャージコントローラーを選ぶ際の、ソーラーパネルの発電量とバッテリー容量のバランスについて、以下説明してまいります。
独立系の太陽光発電システムを考えるとき、誰でもが、何のための(庭の噴水ポンプ用、電動工具用、夜間照明用)、いつのときの(常時使用、非常用、アウトドア用なのか)という用途を想定しているはずです。
例えば、玄関の夜間照明だけに使う用途であれば、ソーラーパネルの発電量もバッテリーの蓄電容量も、そう大きいシステムは要りません。逆に日曜大工(DIY)などでは、使用頻度を考えるとき、土日祝日等に限られていたとしても、電動工具の種類によっては大電力を必要とする工具も多数あります。ですから、電動工具の消費電力と延べ使用時間を考慮して、どれくらいの電気を蓄えておかなければならないのか、キッチリ計算してシステムを設計しなければなりません。
以下参考値として、ソーラーパネルの発電量に対するバッテリー容量の目安について、バッテリーがほぼ空に状態から約1週間で満充電になるバランスで説明いたします。
※わが国における1日あたりの平均日照時間は「3.5時間」として解説します。(曇りや雨の日を入れた平均時間ですので、地域によって充電時間は大幅に変化します)バッテリーは12Vのものが前提です。
※また、本来太陽光発電システムでは、出力補正係数を「0.85」充放電損失係数を「0.95」と規格で定めていますが、ここではわかりにくくなりますので除外しますので、あくまでも理論値としてお考えください。
ソーラーパネル20Wの場合で考えると……
適合するバッテリー容量は、以下の計算式から求められます。
1時間に発電される電力量(Wh)は、20Whですから、
20Wh×(3.5時間×7日)=490W(1週間の発電量)となりますので、
12Vバッテリーでは、490W÷12V=40.8Ah(バッテリー容量)となります。
但し、先にお断りしたとおり、各種損失係数を考慮していませんので、実際には30Ah程度のものが妥当でしょう。
また、充電期間(充電時間)を3日間とすると、さらに上記の半分程度(15Ah〜20Ah)のバッテリーが適合することになります。
おそらく、「思ったより発電できないなぁ……」とお感じでしょう。
もう一度、もっと大きいソーラーパネルで計算してみます。
ソーラーパネル100Wの場合で考えると……
適合するバッテリー容量は、以下の計算式から求められます。
1時間に発電される電力量(Wh)は、100Whですから、
100Wh×(3.5時間×7日)=2,450W(1週間の発電量)となりますので、
12Vバッテリーでは、2,450W÷12V=204Ah(バッテリー容量)となります。
何度でも言いますが、上記は「1週間で満充電になるバッテリー容量」です。したがって、3日間程度で充電を終わらせるには、適合するバッテリー容量は80Ah〜100Ahとなります。
※弊社の太陽光発電システムセット商品は、上記のような考え方に基づき、正しく実用的なレベル値で設計されています。
ここまで理解いただけると、本題のチャージコントローラーの選び方に進んでいくことができます。もうお分かりのように、チャージコントローラーの選定は、ソーラーパネルとバッテリー容量に適合したものを選ぶ必要があることがわかりました。
以下、正しいチャージコントローラーの選び方です。
チャージコントローラーの性能表記は、基本的な性能を示す「A」(アンペア)表示となっています。この数字は、コントローラーの最大入力電流値を示しており、12Vシステム用の「10A」表示であれば、12V×10A=120Wのソーラーパネルまで使用できるということになります。(理論値)
上限となるソーラーパネルの発電量についてはわかりましたが、下限の発電量はどうなるのでしょうか?
例えば、発電能力10Wのパネルに、上記10Aのコントローラーと、50Ah容量を持つバッテリーは適合すると言えるでしょうか?
答え:「No」です。(絶対ダメというわけではありませんが)
10Wの発電能力を持つソーラーパネル(12V仕様)の電流値は、
最大でも10W÷12V=約0.8Aに過ぎません。要するに、50Ahのバッテリーを満充電できるまでには、50Ah÷0.8A=約62.5時間かかるので、先の日照時間の統計データ(3.5時間/日)から、62.5時間÷3.5時間=約18日もかかる計算になります。
チャージコントローラーには、基本性能を示す値として「○○A」の表示がありますが、この数値は、ソーラーパネル側の発電電流値(最大動作電流値)とバッテリー容量とのバランスを必要とします。
仮に、20Wのソーラーパネルであれば、20W÷12V=1.67Aが最大の電流値となりますので、最高でも5A程度のチャージコントローラーが適合するということになります。一般的には、容量の小さいコントローラーは、自己消費電力も少なくなりますので合理的という結論です。
※50Wパネルの場合:50W÷12V=約4.2A なので、10Aコントローラーが適合
※100Wパネルの場合:100W÷12V=約8.3A なので、15Aコントローラーが適合
ちなみに、24V仕様の場合には、上記電流値は半分になりますので、コントローラーも半分のもので十分となります。(コントローラーにもよります)
チャージコントローラーには、格安の中国製品を含め、日本製、アメリカ製、ヨーロッパ製品も多数流通しております。
もう一度、以下振り返って最初からお考えください。
@(想定される使用機器の消費電力と使用時間)→○○Wh
A(蓄電側のバッテリー容量)→○○Ah
B(バッテリー容量に応じたソーラーパネルの選定)→○○W
C(パネル発電量に応じたチャージコントローラー選定)→○○A
正しい太陽光発電システムの完成!! となります。
以上です。
どうか皆様も趣味・実用を問わず、「自然エネルギー発電」を存分にお楽しみください!